WEBには、商業作品で扱わないジャンルも。
たとえば、虐げてくれた奴らへの復讐で消すか、調教するストーリー。
今となっては過去だが、異世界恋愛に引き継がれました。
WEBならではの残虐なリベンジ
リベンジする始祖は、2016年の『二度目の勇者は復讐の道を嗤い歩む』。
宇景海人は過去に戻り、やがて裏切るパーティメンバーに復讐することを決意するも……。
2013年からの人気シリーズである『盾の勇者の成り上がり』も、復讐系。
盾の勇者の岩谷尚文はハズレとして敬遠されたうえに冤罪で全てを失うも、基本的に人々を救うために行動しており、敵対した奴らを許さないものの、だいぶマイルド。
それに対して、海人はパーティメンバーを1人ずつ、相棒になったキャラと復讐する。
「まだ裏切っていないよね?」と思いきや、彼らの本音は変わらず。
ノリは『Saw』の拷問に近く、「助かるようでいて必死」という罠へ。
1周目の知識を活かし、そいつが本当に望むことを潰し、本当に残虐。
いっぽう、盾の勇者は「騙されての女性不信で、暗い性格になった」というぐらい。
インパクト勝負だから一度でいい
復讐は、負けたあとの八つ当たり。
『推しの子』で分かるように、何も返ってこない。
だけど、インパクトはある。
『小説家になろう』は、第1話でブックマークをしてもらうことが大事。
さらに、主人公が負けても許される、唯一の場面。
復讐モノは、その鉄則を守りつつ、次のエピソードを読ませるのにベター!
屈辱でやり返しますが、復讐モノはずっとそれ。
どんどんステーキが運ばれてくる状況で、胸やけ。
「ざまぁ!」が続くにせよ、読者は飽きます。
時間を巻き戻せば、いずれ裏切るにせよ、まだやっていない相手を嬲り殺し。
あるいは、手の内を知ったうえで、それを利用して破滅させる。
なろうの異世界恋愛に吸収された
復讐モノは、なろうのブームが変わったことで対象外に。
『即死チートが最強すぎて、異世界のやつらがまるで相手にならないんですが。』もありますが、なろう主人公を瞬殺していくギャグ。
なろうが異世界恋愛に染まり、復讐モノは息を吹き返す。
冤罪をかぶせての婚約破棄、あるいは、国外追放されたヒロインとして……。
ヒロインを貶めた人物は、必ず破滅します。
けれど、血の繋がった家族と和解することも多く、男主人公と比べてソフトランディング。
面白いのが、女主人公は自分の手を汚さないこと。
始祖である『二度目の勇者』と正反対で、敵対したキャラは権力や司法による制裁か、自業自得で消え去るのみ。
過激な昼ドラを繰り返し読みたい?
異世界恋愛とは、昼ドラ。
ファンタジーだから、「泥ママスカッ!」よりも高尚に感じる。
でも、その本質は同じ。
『二度目の勇者』と同じく、読むのが苦痛。
直接的な暴力は減ったものの、ネチネチした言葉責めや、わざとらしいほどの男下げ。
過激な昼ドラは、リアルタイムで読みながらコメントするのに適しています。
しかし、それを手元に置き、何度も読みたいのか?
『闇金ウシジマくん』のように、救いはありません。
復讐モノの本質はそれで、『二度目の勇者』の系譜である異世界恋愛も同じ。
スパダリと結ばれた女主人公は、「ざまぁ!」された人々の関係者に狙われる?
時間を巻き戻して復讐すると、いずれ自分と周りがその立場に……。