推しの子のお終いはバッド?人気作が社会に与える影響を考えてみた!

なろうに埋め尽くされた昨今で、大ヒットした。
『推しの子』は、ドラマと現代ファンタジーの良いところ取り。
感動のエンディング……と言いたいですが。

犯罪に始まり犯罪に終わった物語

オープニングで、即切りする。
あまりに選択肢が多く、スマホをさわるだけでお別れ!

『押しの子』は、人気アイドルの星野アイの出産という、衝撃的なオープニング。
だが、担当した産婦人科医ゴローは、ある男に殺されてしまい……。

誰が犯人なのか?
興味はあるが知らない、芸能界の実態とは?
次のエピソードが気になって、仕方ない。

生まれ変わったアクアの復讐は、犯人の殺害を意味する。
オープニングと第二の殺人は完全犯罪で、彼の発言は信用されない。
だから、犯罪に始まり、同じく犯罪に終わったのです。

「前世の記憶がある」というオカルト

現代社会と同じだが、「前世の記憶がある」というアクア。
これはオカルトで、現代ファンタジー。
ただし、一般文芸に収まっており、ラノベではありません。

主人公は、前世のアドバンテージにより、芸能界へ進出。
そこにいるはずの、自分たちを殺した犯人を探すも……。

現代ドラマとして、なろうのチートはない。
生き馬の目を抜く芸能界で揉まれ、子役の輝きがなくなるアクア。
成長するほど、他と変わらない存在に。

カテゴリとしては、『Bible Blackバイブルブラック』と同じ。
あるはずがない、前世の記憶を持った子供は、禁断の儀式に他ならず。
でも、『推しの子』が描きたいのは、芸能界のドタバタ。

生まれ変わったら罪はなくなるのか?

『推しの子』は、出オチ。
始まった瞬間に、主人公の敗北が決まりました。
犯人を見つけ出し、復讐を果たしても、失ったものは返ってこない……。

現代の法律では、殺人事件を裁けても、生まれ変わった人間を裁けません。
なぜなら、生まれたばかりの赤子に罪はないから。

でも、その赤子に前世の記憶があり、精神的には過去の人間と同一ならば?

最後に問われるのは、「記憶を継承して生まれ変われば、罪がなくなる!?」という命題。
それを認めれば、司法制度は無意味となります。

商業作品としての罪と罰

大人気シリーズの『ペルソナ2 罪』『ペルソナ2 罰』では、過去を変えた代償。
罪と罰を成立させなくては、商業作品として許されない。

『推しの子』で代償を払うのは、アクアと彼にとって大切な人たち。
彼らが口をぬぐい、「何もなかったよな?」と笑い合っては、醤油しょうゆペロペロと同じ。
読者という神の視点では、ちゃんと罪を償わなくては納得できず。

『推しの子』は、億単位のビジネス。
それだけの人々が見て、感情を動かされたのです。
犯罪をしたアクアが幸せに過ごせば、真似しない保証はない。
「あの作品を見て、影響された!」と主張されたら、巻き添えに。

犯罪者の主人公は、常に悲惨でなければならない。
『DEATH NOTE』の夜神やがみライトもたどった道。
社会的に影響力があるからこそ、寓話ぐうわとして教訓を示した……とも言えます。

室矢家にいるのは、一騎当千ばかり!

四大流派の3つに認められた、室矢家!
ついにエンディング……とはならず。

東京の市街地、戦国時代の城、不思議の国。
室矢家は、敵を殲滅するのみ。

当主の重遠も、ついに刀の名前を呼ぶ!

出版業界とラノベ史