あの名作が実は「なろう」ではない?知っておきたいWEB小説の歴史!

『小説家になろう』は、WEB小説のトップ!
その根拠として、大ヒット作品をあげているものの……。
実は、まったく違う土壌で育っており、言うほど多くありません。

なろう黎明期はオールスターの独壇場

2000年から始まった小説投稿サイト、Arcadiaアルカディア
これこそが、日本のラノベ界を引っ張ってきた名作の故郷です!

  • ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか
  • オーバーロード
  • 幼女戦記
  • アクセル・ワールド(当時は、超絶加速バースト・リンカー)
  • ソードアート・オンライン(本人のサイトから担当編集が拾った流れ)
  • 自衛隊彼の地にて、斯く戦えり

これらの名作は、だいたいコンテストで受賞。
サイト内の批評が厳しく、その選別を乗り越えてきた結果です!

『小説家になろう』にも連載するパターンがあって、「なろう系でしょ?」と混同することも……。

なろうが一人勝ちした構図

Arcadiaとほぼ同時に、『小説家になろう』もスタート!
2010年に非上場の株式会社になって、明暗が分かれました。
当時は、個人サイトに小説を掲載することが一般的。
作品を探すための場としての出発でした。

2008年、厳しいArcadiaで生き延びた名作に影響されて、なろうの大作である『魔法科高校の劣等生』が登場したのです!
ここから、『小説家になろう』の快進撃が始まります。

  • 転生したらスライムだった件
  • 無職転生 〜異世界行ったら本気だす〜
  • Re:ゼロから始める異世界生活
  • この素晴らしい世界に祝福を!

これらの名作は、2013~2015年に連載をやめています。
マルチメディア展開が行われ、「続きは、そちらで!」という話。
同じ時期に始まった作品として、『異世界はスマートフォンとともに。』『即死チートが最強すぎて、異世界のやつらがまるで相手にならないんですが。』を挙げられます。

大手の投稿サイトは利益第一

後続の投稿サイトはあれども、すでに絶対的な王者。
『小説家になろう』は、笑いが止まらない――

とはならず!

いかに名作を出しても、書籍化、アニメ化となるだけ。
小説投稿サイトから削除され、PVによる広告料で稼ぐことは不可能に!?

投稿サイトは、「会員へ発表する場を提供する」というサービス。
作家を育てる義務はなく、人気作を真似したラノベであふれかえりました。
会社は利益を追求するため、「なろう系」と揶揄やゆされても、今月の売上が全てです。

なろうのバブル崩壊による変化

Arcadiaから巣立った作家がいて、その背中を見る作家もいた。
2015年をさかいに、『小説家になろう』は迷走します。
まともな読者が消えて、「否定したいだけのやから」と「肯定するファン」の二極化へ!

1,000万部の作家にも、試行錯誤をしていた時期はあります。
ところが、出版社ですら、「なろう」のランキング上位を使い捨て。
同じ土地で焼畑農業を繰り返し、10年も経てば、ストーリーが破綻したラノベも上位に!?
2020年から異世界恋愛の一強ですが、どれも昼ドラを異世界に置き換えただけのテンプレ。

もはや、なろうを書籍化することがリスクです。
10巻を超えているのなら、それは10年前の作品であって、今にあらず。

小説投稿サイトは、一向に構いません。
書籍を売るのではなく、PVで広告料をどんどん稼ぐか、コラボの契約金による儲けだから!
「なろう」に過度な期待をするべきではなく、アングラでやっていると理解することが大切。
素人がテンプレに嵌めた作品の置き場で、「出版社が楽して儲ける場」にあらず。