ラノベ作家なら誰もが夢見る、コンテストの大賞!
ところが、勝利を約束された作品ですら、「3巻打ち切り」から逃れられず!?
エンドユーザーが自分で選ぶ時代は、過酷そのもの。
コンテストの大賞でも打ち切り!?
結論から言うと、コンテスト主催者のメンツがかかっているから、大賞の1巻切りはありません。
ただ、「出版社のかけた労力やコストに見合うか?」は、別問題ですね。
今のラノベは、『小説家になろう』の延長線上で、より娯楽や自己実現になっています。
選考委員が「硬派な中世ヨーロッパがいい!」と考えても、買うかどうかはエンドユーザーの勝手ですから……。
ゲーム制作もそうですが、決定権を持つ中高年の感覚はそのエンドユーザーとズレています。
社内の企画が通りやすいのと、売れるのかどうかは、別問題。
付け加えれば、「出オチの主人公に伸び代はない」という現実も……。
視点を変えれば、コミカライズ、アニメ化を踏まえて、世間や株主に騒がれないよう脱色された物語だけを求めるから。
大きな金と人が動いたけど途中で炎上してお蔵入りは、シャレになりません。
大賞の権威が通用しない時代
携帯電話もなかった平成初期までは、マスコミが世論を操りました。
テレビ、ラジオ、雑誌が全て。
いっぽう、もはや小学生ですら自分のスマホで調べて、自由にコメントする社会です!
「大賞? あ、そう……」
WEB連載から長く応援してきたファンでなければ、こんなもの。
必死に宣伝しても、気が向いたら目を通すかな、ぐらいです。
さらに、従来の出版社では「書店に紙の本を置いてもらい、販売する」という枠組み。
書店が減り続ける現状に、どれだけの逆境であるのか?
出版社の営業マンが店長にお願いしても、その販売するフィールドが消えている……。
とある大賞でアニメ化したラノベは、10巻まで。
たった2年半という短期間で、コミカライズはたった4巻。
このデータだけで、「何があったのか?」をうかがえますね。
主人公のキャラで成否が決まる
最適解としては、『異世界はスマートフォンとともに。』を挙げられます。
主人公の望月冬夜は「スマホ太郎」と揶揄されるものの、大成功した事例の1つ。
高尚な文学をきどっているラノベと比べて、圧倒的な売上!
2024年5月で30巻、コミックは15巻。
シリーズ累計300万部を突破している、ラノベの代表作ですよ?
冬夜は、異世界スマートフォンを持っています。
それとは別にチートも授かっており、約10人と結婚するハーレム主人公。
槍玉に上がることが多い『異世界スマホ』は、大賞作品に勝るとも劣らず。
それだけ読者に支持されていることを理解するべき!
お金を払ってくれる読者をつかむ
『僕は友達が少ない』にも言えますが、「ターゲット層に刺さるか?」が問題。
刺されば、お金を払ってくれるので。
逆に言うと、「ギャーギャーとうるさい奴らに忖度すれば、一銭にもならない」というだけ!
前述したように、今のコンテスト大賞はどんどん綺麗な主人公へ。
けれど、ラノベは政治家ではありません。
他のジャンルが混ざり合い、上層部の理解のなさや株主ファーストで身動きがとれない現状。
比較的マシな競争原理が働いている小説投稿サイトのランキングを利用するしかない。
たとえ、そのランキングが機能不全に陥っていても……。