『小説家になろう』の象徴である、ネット小説大賞!
第13回となったコンテストで、現状を分析してみましょう。
選考に加わった編集者の方々から、切実なコメントがありました。
異世界恋愛は短編ばかり
異世界恋愛ジャンルでは短編作品が依然として多く、内容自体は面白いのですが、ノベルやコミカライズとして展開するには物足りないケースもありました。長編化を意識した作品がもっと増えると、さらに商業化の可能性が広がると思います。
これは、そのまま!
今の『なろう』は、異世界恋愛の短編に埋め尽くされています。
「価値がある私を理解できない、周りが悪い!」
ドアマットにされた女主人公が、実家や国を見捨てる。
完璧なスパダリに溺愛されて、完全勝利……。
それを長編にしても。
水で薄めまくったカルピスに過ぎず、お金を払ってもらう作品にならず。
女主人公が殴る、剣で相手と戦う作品は少なく、ひたすらに心の声。
コミック、アニメにしても、サウンドドラマみたいに。
女性向けの異世界は出オチが目立つ
女性向け異世界ジャンルを選考しているなか、飛び道具的なユニークさや序盤でのヒキに注力しすぎてしまい、中盤以降にお話しの強みとなる部分が失速してしまう作品もあり、もったいないと感じたこともありました。
WEB小説の全般に言えることですが、基本的に出オチ。
序盤でタイトル回収をしたら、後日談をダラダラと続けてしまう。
1話目で、ブクマしてもらうため!
不定期に更新されるWEB小説には、「いつエタる?」という恐怖。
ユーザーに安心感を与えるため、出オチになりがち。
でも、書籍にその事情は関係ありません!
女性向けの異世界恋愛は、ユーザーに共感を求める。
「私、大変よね? こんなに苦労してるの!」
男にとっての妻、彼女か、同性の親友であれば、その愚痴も聞きますが、娯楽では……。
ランキング上位=売れるとは限らない
物語の内容以外で魅せることも大事ですが、やはり各作品に込める「面白い」を大事にしていただき、ご応募いただく皆様には、ランキングなどに左右されず自分の作品に誇りを持って、ぜひ挑戦し続けていただければと思います。我々編集部もそんな熱い想いを見逃さないように、作品に真摯に向き合っていければと思います。
ぶっちゃけています。
ランキング上位になろうと、売れないものは売れない……。
今の『なろう』は、ランキングが破綻している。
より正確には、評価をするユーザーに媚びた作家だけが報われる場。
テンプレを遵守している人を持ち上げる、と言ってもいい。
『片田舎のおっさん、剣聖になる 〜ただの田舎の剣術師範だったのに、大成した弟子たちが俺を放ってくれない件〜』は、その意味で奇跡的!
テンプレを遵守しつつも、一般人にウケる余地を残していて、コミカライズで化けた。
けれど、二匹目のドジョウはいません。
お金を払ってくれる人は、『なろう』の外にいます。
編集者のコメントが、それを裏付ける。
1巻10万文字を書いて?
タイトルやあらすじから「面白い!」と思っても話数が少ない作品が多く見受けられ、もったいない印象でした。ランキングやPV数に一喜一憂せず、伸びずとも自分が面白いと思える作品を書ききる力も鍛えていきましょう。
無理です!
読者の反応がないことは、素人に厳しすぎる!
とはいえ、本を売るプロはそう言った。
ならば、真剣に考える必要があるでしょう。
編集が「売れそう!」と感じた、まともなラノベほど、ランキング外で低評価。
モチベーションを失った投稿者は、早々に見切りをつけて、更新せず。
テンプレの短編から発展させても、伸びしろがない。
1巻分の10万字として書き、編集のチェックを受けることが、スタートライン!
だけど、『なろう』はどんどん短編へ進み、売れ筋から離れていく……。