悲惨な主人公は多いが、本当に全てを失った主人公は少ない。
超人的な力を手にした『宇宙の騎士テッカマンブレード』こそ、まさにそれ!
室矢重遠のモデルになったキャラでもある。
全てを犠牲に戦い続ける
宇宙を旅していたアルゴス号は、宇宙生物に襲撃された。
家族や恩師が次々に取り込まれる中、相羽タカヤは脱出ポッドに入れられて……。
テッカマンとして改造された男
宇宙服を騎士のアーマーのようにした装甲と、マッハ5以上のスピード。
巨大なランサーによる切り裂き、串刺しで、あらゆる敵を倒す。
さらに、反物質素粒子フェルミオンに指向性をもたせたボルテッカで、対消滅の爆発!
相羽タカヤ達は、一騎当千のテッカマンに改造された。
しかし、それはラダムと呼ばれる宇宙生物のために動く、奉仕種族に過ぎない。
反物質によるエネルギーを活かして、光速のようなスピードで宇宙を駆ける騎士。
全ては、自分たちの主人であるラダムのため。
タカヤだけ、ラダムに洗脳される前に逃亡。
ところが、テッカマンに改造する場に残された家族や恩師たちは……。
憎きラダムを倒すだけ
ラダムの目的は、地球で繁殖しつつ、知的生命体をテッカマンに変えること。
つまり、侵略を兼ねたテラフォーミング。
衛星軌道上のオービタルリングを占拠されたうえ、レーザー砲で地上が焼かれた。
次々に地面へ潜り、大きな花を咲かせる樹木へ変わっていく、ラダム獣。
不完全なテッカマンとして帰還した相羽タカヤは、外宇宙開発機構に助けられる。
素性を隠して、「Dボウイ」と呼ばれた。
ラダムへの反抗組織であるスペースナイツにとって、唯一の希望。
Dボウイが変身したテッカマンブレードは、多くの人に支えられつつ、戦う。
家族や恩人と殺し合う悲劇
Dボウイが戦うのは、自分の家族や恩師だ。
ラダムに洗脳されて完全なテッカマンにされた彼らは、そのために動く。
記憶と人格はそのまま、中身が変わったわけでもない。
ラダムの繁殖が最優先で、それを妨害する者を排除するだけ……。
スペースナイツは、Dボウイの葛藤を知らない。
なぜなら、「俺は記憶喪失だ!」と噓をつかれたから。
生き残った人類の希望である、『宇宙の騎士テッカマンブレード』。
しかし、そのDボウイは苦しみ続けた。
他人は他人であって、彼ではない。
地球の人々のために肉親殺しを強いられた男は、ラダムと戦い続ける。
外宇宙で生きるための回答の1つ
人類にとって、月ですら過酷だ。
物質を貫通する宇宙線による被ばくや小惑星の破片であるレゴリスで、容易に死ぬ。
人間はあまりに脆弱すぎる
1970年、東西が競うように、ロケットを打ち上げた。
アポロ計画も、その1つ。
人類は月面まで到達したものの、そのわずかな期間ですら、大きなダメージを受ける。
地球の大気圏から出た人類は、あまりに脆弱すぎた!
『ベターマン』に登場したソムニウムのように、宇宙でも暮らせる体になるか。
あるいは、『楽園追放 -Expelled from Paradise-』のように電脳世界で生きるか……。
テッカマンは、人の姿と記憶、人格を保ちつつ、太陽系を日帰りで往復。
特殊なフィールドを展開することで全身装甲をまとい、大気圏突入や離脱もあっさりと。
宇宙でも戦えるテッカマンは脅威
『宇宙の騎士テッカマンブレード』は、人類に勝ち目なし。
そもそも、地球を一瞬で何週もできるうえ、都市1つを破壊できるのが、テッカマン。
中世の騎士のように物理的な攻撃だから、占領した惑星の被害が小さい。
必要なら、ボルテッカを撃つだけ。
大量にいるラダム獣ですら、人類の武器で倒すことが難しい……。
高い知性どころか、元の人格も残していることから、テッカマンは現地の管理者。
ラダム樹のテックプラントで、その惑星にいる者をどんどん変えていく。
反乱や外敵の侵攻があれば、その武力で制圧するだけ。
光速に近いスピードで、単独の移動。
となれば、本来は星系を1人で担当するのが本来の姿!?
ラダムという侵食する生命体
テッカマンの役割は、移住できる環境の惑星でラダムを繁殖させること。
高度な知的生命体がいれば、テッカマンへ改造することも……。
ラダムの生存戦略はシンプルで、自分が頭脳になって、肉体は別で用意する。
アルゴス号の乗員が取り込まれたのも、その生態が原因。
その惑星にいる知的生命体で、自分たちを最優先にするよう、価値観を変えればいい。
築き上げた技術、ノウハウを丸ごと奪い、新しいテッカマンが統治する。
『マクロスF』のバジュラが自己完結した群体だったのに対して、真逆。
遭遇した知的生命体をテッカマンにすることで、力とする。
一部の蟻、蜂は、他の巣から奪った同族を奴隷にするか、巣を乗っ取る。
寄生することで宿主の行動を誘導して、自分たちに都合がいい行動をさせていく。
ラダムは、太陽系からは想像がつかない広さの外宇宙にいる虫だ!
室矢重遠もDボウイと同じ
異世界転生した室矢重遠も、同じ立場。
ゲームの悪役である千陣重遠として生まれ、メインヒロインの世話で暮らす。
自分の素性を隠して生きるのみ
「ここはゲームの中で、俺は異世界転生した人間だ!」
そんなことを言えば、頭がおかしいと思われるだけ。
千陣重遠として生まれ育って、5歳ぐらいで前世と原作知識を思い出す。
必ず滅ぶ悪役になった恐怖、他のヒロインに責められ、殺された体験を繰り返したことも。
『異能者が普通にいる世界へ転生したら死亡フラグだらけの件』。
その原作である【花月怪奇譚】における千陣重遠の最期は、壮絶だった……。
全てのルートを追体験したことで、前世ではプレイヤーを癒したヒロイン達が自分を何度も殺した凶悪犯に等しい。
この世界線のヒロイン達は何も知らないが、室矢になった重遠は覚えている。
同じ体験による共感なしで、彼女たちを愛せるのか?
真実を秘めたまま、見るだけで正気を削られるヒロインと一緒……。
『俺の屍を越えてゆけ』を反映したのが、この世界の未来である【花月怪奇譚】。
異世界転生した重遠の視点では、『宇宙の騎士テッカマンブレード』と同じ。
戦い抜いた相羽タカヤは、全てを失う。
室矢重遠は、一体どうなるのか?
それでも戦うしかない
室矢重遠は、千陣流という全国的な組織の次期宗家だった。
霊力ゼロによる追放で、東京の名門私立へ進学。
このままでは、高校を卒業した途端に、こっそり処分されるだけ。
良くて、京都の本拠地へ連れ戻されての幽閉。
その場合も、血筋を残すために子供を作らされて、いずれ暗殺。
歴史が古ければ、男を興奮させて行為をさせる方法など、いくらでもあるだろう。
まして、捕らえられて世話をされれば、拒否することもできず。
カレナと出会い、ようやく人並みに戻った霊力が大きな転機となった。
原作の主人公だった鍛治川航基に絡まれつつ、女子中学生の失踪から魔術的な事件へ。
千陣流に自分を認めさせなければ、人間らしい生活は高校で終わる。
尊厳、命、どちらの意味でも……。
重遠の許嫁である南乃詩央里は、破滅を待つだけの彼を助けたい。
でも、重遠が恐れている理由を知らないまま。
【花月怪奇譚】というアカシックレコード
室矢重遠が前世で遊んでいたゲーム、【花月怪奇譚】。
ここは、ゲームの中だろうか?
それとも、未来を記したアカシックレコードの一部を遊んだ?
誰にも相談できない重遠は、その問いに答えを出せず。
次期宗家を確定させたい千陣流、紫苑学園のテストなどは、待ってくれない。
それぞれの事情を抱えつつ、次々に迫る。
それは、邪神と呼ぶべき、超自然的な存在かもしれない。
知っただけで発狂する、魔術や宇宙生命体。
この世界がまだ滅びていないのが不思議なほど、死亡フラグであふれていたら?
それを自分だけが知っていることは、果たして幸運だろうか……。
誰とも分かり合えない孤独
Dボウイは、地球の人々に真実を伝えずに、戦った。
いっぽう、室矢重遠は原作知識を隠したまま。
どのルートでも必ず滅ぶ悪役として転生
【花月怪奇譚】で、千陣重遠は悪役。
プレイヤーの分身である鍛治川航基を苦しめ続けて、最後はぶざまに死ぬ。
全てのルートを遊んだ前世を持つ、異世界転生した今の重遠にとっては、恐怖そのもの!
異能者としての霊力がゼロで、つつかれただけで死ぬ。
原作の千陣重遠の面影は、どこにもない。
頼りになるはずの原作知識は、断片的。
霊力が戻った後にも、所属している千陣流から暗殺される日々だ。
なぜ、千陣重遠は誰からも嫌われ、滅ぼされたのか?
意図せずに本人となった重遠は、【花月怪奇譚】で描かれなかった舞台裏を知る……。
原作主人公は思い込みが強い男子
鍛治川航基は、無名だ。
四大流派に所属しているエリートとは違い、孤児で、フリーの異能者。
ゲームらしく、名門私立の紫苑学園に通う。
千陣重遠の横暴に怒りつつ、メインヒロインの南乃詩央里と出会った。
航基は天涯孤独で、思い込みが強い。
「許さないぞ、千陣!」と言い続けて、ヒロインの協力を得ながら、強くなる。
エロゲゆえ、サービスシーンも多い。
室矢として原作主人公に出会った重遠は、霊力ゼロであることから、身を潜めた。
目立たないように過ごし、自宅で詩央里と過ごす。
重遠は、1つの疑問を抱く。
「これだけ条件反射の鍛治川に、いったい何が分かっていた?」と……。
世界を守るなど遥か昔に通り過ぎた
室矢重遠は、『宇宙の騎士テッカマンブレード』の相羽タカヤと同じように苦しむ。
誰とも共感できず、様々な脅威へ立ち向かうだけ。
彼自身も覚えていない過去や、異能を超越したスキルがあるとしたら?
それは、簡単に世界を滅ぼせるとしたら?
『魔法科高校の劣等生』の司波達也は、自分の力を正しく理解したうえ、管理された。
けれど、重遠に自覚はなく、周りもそれを認識していない。
『ストライク・ザ・ブラッド』の暁古城も、その脅威を正しく認識されていた。
第四真祖の力を恐れて、絃神島に隔離。
けれど、重遠の監視役といえる南乃詩央里まで、彼を霊力ゼロと認識するのみ。
本人すら知らないまま、重遠は世界を滅ぼせる力を持つ。
昔の彼が世界を救ったというなら、それもまた1つの結末だ。
【花月怪奇譚】の千陣重遠について、客観的に見れば。
主人公の鍛治川航基たちがその横暴に耐えかね、周りも敵と見なしただけ。
千陣重遠が生きていたら都合が悪い、と言わんばかりに……。
もしも、全てが真逆だったとするなら、今の重遠はどういう決断を下すのか!?
異能者が普通にいる世界へ転生したら死亡フラグだらけの件


